永谷元宏の「長沙日語学院 友好の輪
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福島顕二郎の長沙教師録〜未来への道が完成(文字クリック)

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長沙日語教師録  
「コメント」



  
     

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2009/03/10

竹田の子守唄は中国で


朝はジェット機の発進音のような大音響が7時過ぎの朝空に響きわたる。

 隣の長沙大学男子寮が発する目覚まし時計替わりのビートの効いた音楽だ。

 彼らはこれでもか!という音響に抵抗しながらしぶしぶベットから起き上がるに違いない。

 私はもう朝食をすませて朝の静けさを楽しんでいたのに・・・
でも今日はなんだか聞き覚えのあるメロディーが聞こえる。テンポもややスロー調だ。
あっ!私の好きな竹田の子守唄だ。

http://www.youtube.com/watch?v=vwjonOlpdmo
この歌は中国の人たちにも愛されていたのか。

 そう知ると、この名曲よ長沙中の大空に大声で響き渡れと思ってしまう。

 授業の始めにこの音楽について生徒に聞いてみた。

 ほとんどの生徒はこれは中国の歌だと思っているらしい。先生これは悲しい子守唄ではなく、「希望の祈り」の歌ですよと言う。

 よく聞いてみると文化大革命が終結した1980年代に新生中国に託して作曲された「祈祷」という歌だそうだ。

 苦しい時代からやっと明るい日差しが見えはじめた頃、大衆の希望の祈りがこの「祈りの歌」を中国中に根づかせたそうだ。

 もとより生徒達の生まれる前の歌だが、みんなこの歌が好きなようだ。竹田の子守唄の悲しくつらい歌詞もみんなに話した。
 
 そしてこの歌を日中2つの歌詞で合唱し過ぎ去った昔を互いに思い浮かべたのだった。

(中国版)「祈祷」 生徒の抄訳から

 ここに希望の鐘を鳴らす祈りがある。

 失敗は失せ 永遠の成功がここにある。

 地球は動きを忘れ、夏、秋、冬の季節もなくなる。

 宇宙は天の窓を閉ざさず、太陽は西の空に沈まな  い。

  「祈祷」は下をクリックしてください。
 http://www.youtube.com/watch?v=_8cLMPt4HtM&feature=related

2009/03/8

湖南地方劇 花鼓戯 (フア・グー・シー)の名優


今日も天気がいいので近くの湘江の畔をみんなで散歩した。

1時間ほど河岸を下ると湘江1橋の南側に公園があった。賑やかな声が聞こえる。公園の入り口では老人のグループが二胡を奏で歌を歌い、踊りに興じている。

数組がそれぞれ自慢ののどを張り上げて、手つきもよろしく声色よろしく、舞台の衣裳こそないが登場人物に成りきっている様子はおみごとの一言。


少し進むと階段や石畳に大きな筆で水文字を書いている人がいる。達筆の字が次々と路上を描くように続いていく。水文字は蒸発して消えてしまうがそれを楽しんでいるようだ。


やがて、向こうに大きな人垣が見える。急いで輪に入る。そこは京劇のような華やかな衣装をまとった俳優さんたちが演ずる湖南地方の野外劇「花鼓戯」の世界であった。


頭 の先から抜けるような高い声色で役者は世話物の劇を演じている。舞台の袖では二胡などの楽器の演奏が劇を盛り上げている。

舞台の飾りや背景幕など何もない、役者のしゃべりと歌と顔色・手振りがすべてである。

化厚粧に色目、流し目、哀願、怒りの表情で演ずるしぐさは見る者を飽きさせない。観客はうっとりして見とれ聞き惚れ、懐からおひねりのお札を役者に
付け渡す。

友に聞くと、どうやら今日の劇は「若夫婦と双方の姑の小競り合いを仕立てた演目のようだ」いつの世にもある世間話だが誰にも興味のある話だ。迫力に圧倒された多彩な経験の午後であった。

2009/03/7

岳麓山と古麓山寺に詣でる


ついに長沙の「おてんとうさま」の顔を拝むことができた。

司馬遼太郎の「蜀の国紀行」に太陽が出ると怪訝に犬が吠えると書いてあったのを思い出した。隣の楚の国(湖南省)では小躍りした私が太陽に吠えている。

今日は初めての遠出だ。802教室の女性生徒が案内してくれる。久しぶりの天候とあって山道は大賑わい。

 汗かきかき小一時間で頂上に到着。頂上付近は山小屋風レストランが点在する。

 眼下には長沙市の郊外や湘江の流れが望まれ美しい。レストランのベランダではカードに熱中するグループやおしゃべりを楽しむ人たちで溢れている。温かい日差しがみんなをウキウキさせている。

 「ああ!これが中国の風だー」と妙に感慨が湧く。

 頂上から少し下った所に古麓山寺があった。1700年前に建立された仏教発祥地とある。杜甫もここを訪れていた。寺院内は静けさが漂う。

 入口の弥勒殿には金色の阿弥陀如来や千手観音、正面の大雄宝殿にはお釈迦様が泰然と坐しておられる。

 ここで多くの若い修行僧に会った。読経の前で教徒の人々がひざまずいて礼拝をしている。

 近来の苦難の歴史を経て敬虔な静けさに包まれた寺は、今も長沙の人々の心の奥に生きているに違いない。

2009/03/6

隣の人は何する人ぞ


宿舎は学校の敷地の隅にある。

壁を挟んで小さな家が立て込んでいる。朝早くから大きな声が聞こえる。掃除をしながら何やらぶつぶつ独り言をつぶやいているようだ。

「うるさい人だなあ」と閉口していたが毎日同じような話だ。
いやこれはひょっとすると「巷に隠れた導師様のお教えかもしれないぞ」そう思ってみるとそのようにも聞こえる。
目覚まし時計のような早朝の呪文の謎は深まる。


昨日の深夜は隣りから大声で派手な夫婦喧嘩がきこえた。女房殿の金切り声が夜の四十万に響きわたる、8割は女房の声だ、会話は全くわからないが、推し量るに


「この飲んだくれの甲斐性なし、わたしゃ毎日あくせく働いているのに、あたしの着物ひとつ買えないじゃないか、どうしてくれるんだい」

「なにおーこの馬鹿野郎おれも・・・」

亭主はわずかに反論?隣近所はああまた始まったか!と子守唄代りに聞いているのだろう。

「うるさい!」なんて野暮な怒鳴り声など聞こえてこない。山本周五郎の世界のようだ。早く中国語を覚えてこの謎を解かなければ!

2009/03/5

生の日本語と話ができた


金曜日の午後は自習時間になっており生徒も少し余裕がある。夕方から804教室(半年組)の生徒7人が宿舎に訪ねてきた。

スーパへ買い物に出かけ台所で夕食の準備をする。

生徒の宿舎は台所がなく料理ができないので、ここが腕のふるいどころと懇親の場と化す。 私にとっては一石二鳥で嬉しい。

夕食のあと日本の我が家にSKYPEで妻と交信する。みんなパソコンの前で緊張する。はたして自分の言葉が生の日本人?に伝わるでろうかと不安だった

が、しかしなんとか話ができた。緊張が笑顔にかわり喉元で引っかかっていた言葉が次々と流れる。

言葉とはなんであろうか。友好の夜は更けていく。

2009/03/4

日語学校 青春群像1


704教室(1.5年組)の魏君が帰ってきた。

突然、お父さんを交通事故で失くした傷心癒えぬ身で痩身痛々しいが根っ子の太い偉丈夫だ。

見事日本語能力試験1級を合格し、みんなの憧れの的でもある。

そんな彼が開口一番「はるばる日本からいらっしゃった先生に挨拶が遅れてすみません、私にできることをさせてください」と言う。中国の人々の裾野は広い。懐の深さと誠実を彼にみた。

周さんと陳さんは704教室(半年組)の仲良し女性2人組み。周さんは班長、陳さんは大らかなスポーツ女性。昼と夜の食事は校門前の小さな食道で取ることに決めた。

そこで食費を切り詰めるため店の主人と交渉した。昼夜2食で1ヶ月300元(4500円)で契約成立。

もとより1人分ではなく2人分のの値段だ。交渉のしたたかさは伝統か。2人とも6時に起きて授業前の勉強をする。余裕は本代に当てているようだ。

2009/03/02

日本語能力試験の発表


朝から教務室のパソコンに生徒が群がっている。

今日は12月に行った日本語能力試験の発表だ。

中国ではインターネットで受験を申し込み、結果もネット上で個々に発表される。

みんな自分の受験番号をインプットして結果を見ている。合格が出るたびに大きな歓声があがる。

もとより日本語学校で一生懸命に勉強している目標は日本語能力試験の一級合格を取ることだ。

1年から1年半の勉強後1,2級に挑戦する。2級は沢山の合格者が出たが1級は難関である。

それでも8名ほどの合格者が出たようだ。2007年のデータでは1級の合格率は26%、受験者は中国全体で1級が約7万人、2級が11万人と発表されている。

日本に対する関心。期待の深さにあらためて驚く。海外受験者は国内受験者に比べ特に聴解(ヒアリング)がやや弱い。

この学校で自分の担当は会話である。活きた会話を少しでも多く行い彼らの助けになるような授業ができるよう頑張りたい。

2009/03/01

三人行必有我師焉


今日も雨だ。

長沙市の中央を南北に流れる湘江の畔にホテルの喫茶店があった。

中国に着いて以来、本物らしき?コーヒを飲んでいないので生徒の黄さん、彭さんを誘って3人で出かけた。


中国の人はあまりコーヒをのまないらしい。テーブルを囲んでトランプカードをしている人や眠っている人、実に様々なゆったりした光景だ。

喫茶店のコーヒは学生街の昼食費に比べると高目だが(ちなみに昼食費6元(100円)、コーヒ20元)ウエートレスさんの笑顔で好感度な対応が嬉しい。

おいしいコーヒを飲みながら中国での日本アニメのことや、中国人の気質などいろいろと話してくれる。

黄さんは私に言う。先生、「三人行必有我師焉」という言葉をご存知ですか。 

3人で一緒に歩けばその中に必ず私の先生がいる”という意味かな。

あなたは日本語の先生、私達はあなたに中国語や長沙のことを教える。

これは一緒に歩くと言うことですね。お互いに敬い励まし会うところから友好交流は始まる。

コーヒの甘い香りを嗅ぎながらいい言葉をきいた。

2009/02/28

篤姫登場


授業を開始して初めての休日だ。

生徒と列士公園へ行く予定であったが今日も雨のため中止。朝から生徒が6人も訪ねて来てくれた。

近くのスーパーで食材を買い込み台所で早速料理をはじめた。葉さんは料理上手だ。

みるみるうちに料理がお皿に盛られていく。まさに食の文化・中国の面目躍如だ。少し辛い湖南料理を囲んで話が弾む。

みんな幸せそうな顔・顔・・・。

食後にバスで繁華街の本屋に出かける。長沙のバスは
1元(15円)と2元の2種類。エアコンありなしの違い。


どうして見分けるのと訊けば「カーテンがあるのがエアコン付き」の返事に納得。

長沙で一番大きな本屋の「定王台」には古典から児童書まで一杯だ。

3000年の思想・学芸が凝縮されて仲良く並んでいる。日本語関係の本も多い。

漱石の「こころ」もあった。中国の児童書を数冊求めた。中国の子供になって勉強してみたい。階下にはCD・DVDの小さな店が軒を連ねる。

噂の海賊版の宝庫だ。ありました日本のアニメやドラマがたくさん。ひときわ高い棚の上からあの「篤姫」様が見下ろしておいででした。

姫様はもうこちらにいっらしゃったんですね!早速私たちは超超特価のDVDを戴いて雨降るバス停に向かったのでした。

2009/02/27

中国文化です


夜半から雷が鳴る。

枕元の電球がつかない。停電だ!日本では久しく経験していない。雷さまの声もゴロゴロではないかもしれないぞ。

薄暗闇の中でパンとコーヒの朝食をとる。山登りのテントの中で食べた夜食を思い出した。

そうだ!ここは中国なのだと思い直す。授業の後で生徒の陳さん、頼さんと蒸料理の店に食事に行く。

こざっぱりしたおいしい店だ。簡素なテーブルを囲んで話に花が咲く。

勘定を払おうとすると2人がもう済ませていて取ってくれない。

先生に御馳走するのは中国の文化ですと言う。年長者が御馳走するのが日本の習慣だよと言っても笑って取り合わない。

「師敬う」の論語の世界に来たようだ。果物を買って渡すと恥ずかしげにお礼を言われる。これが中国の習慣ですとは言わないところが奥ゆかしい。


帰りに2元(30円)店を見つけた。りゃんユワン(2元)、りゃんユワンとスピーカーがけたたましく叫んでいる。

100円ショップファンの私はすぐに飛び込んで拡大鏡を買ってしまった。

習性は恐ろしい。中国の大河は時には氾濫もするが今なお3000年の歴史を漂わせ悠然と流れているようだ。

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