・
|
2009/04/9 円卓授業 |
7月の日本語能力試験に備えて受験の特別授業が始まった。このため708クラスの会話受講者が随分減ったので、授業のやり方を少し変えてみることにした。 従来の前後配列を円卓方式に変え全員が対面できるようにした。少数人数であれば会話授業には適当だと思う。ここの生徒はこれから日本と関連ある仕事に就くことを目標としている。 それには読み書きの基礎知識とともに会話のコミュニケーション能力の熟達が必須であることは明白だ。このクラスはもう2か月余りで卒業する。 それまでに実用的な会話力を少しでも効果的に磨くにはどうしたらいいだろうかと考える。円卓方式で積極的な対面会話を始めることから試してみよう。他のクラスでも日本語を話す時間を聞いてみた。 クラスメート同志での会話はなかなかはかどらない。日本語会話をするのはほんの僅かな時間であるようだ。宿舎によく訪問してくれる生徒と日本食を作りながらこのことについて語り合った。 |
2009/03/31 真面目な泥棒 |
学校近くの郵便局で人を待っていた。 そこへ一人のおばさんが興奮して入ってきた。 「大変だ、大変だ、泥棒に携帯電話を盗まれた!」 、局員は少しも騒がず「もう一度バッグを見てみたら」興奮鎮めてよくよくみればバッグの底にそれは健在。 そしておばさんは「ここにあったか!」と恥ずかし気な気色もなく堂々と帰っていく。 実に逞しい。この辺りは名うての不安全地帯で一名「泥棒通り」と言うらしい。 5mほどの幅の狭い通りの両側には食堂、八百屋、肉屋、豆腐屋、色々な食材店や露店が立ち並ぶ。 その中で多くの人や車・バイクが行き交う。門前街の縁日のようだ。 「泥棒はどんなふうの人ですか」と尋ねると一緒にいた魏君は「泥棒はみんなが油断するようにサラリーマンのような立派な格好をしていますよ。 [先生気をつけてくださいね」と何度も念を押す。先日も生徒が携帯電話を盗まれたと悔やんでいたのを思い出した。 「そうか“紳士を見たら泥棒と思え”ということだね」と私はつぶやいた。 「去年こんな面白いことがありましたよ」と彼はこんな話をしてくれた。 先輩の彭さんが彼女と話していた時、横に置いておい た彼女のバッグが盗まれた。 バッグには現金、携帯電話、身分証明書、IDカード、など大切なものが入っている。 青ざめる彼女を慰めながら彭さんはもしやと思って彼女の携帯番号に電話をかけてみた。 すると、受話器の向こうに人が出て言った。 「初めて盗みをやってしまいました。ほんの出来心です」 それで彭さんは続けた。 「身分証明書などの大切なものを返してくれれば500元やるがどうだ・・・」 沈黙後に電話は切れた。数日後、彭さんのところに小包が届いた。そこには現金と携帯電話以外の身分証明書やIDカードなどが入っていた。もちろん彭さんは500元送っていない。 |