さて,貴兄のメールにもありましたとおり,鹿児島市にもいよいよ超低床電車
が登場します。これは,全国初の純国産のもので,超低床車としては,熊本,
広島に次いで3番目の導入になります。車体の長さが14mですから,熊本の
タイプよりもかなり短く,現在走っている車両(12.5m)より多少長い程度です。
ただ,台車を運転台の直下に持ってくるため,客室は完全にフラットで,熊本の
ようなタイヤハウス(車内の出っ張り)もありませんので,かなり詰め込みのきく
構造になるそうです。我々が理想とするヨーロッパ(ストラスブールやグルノーブ
ルなど)のLRVにはほど遠いですが,まずは「バリアフリー化」の第1歩というと
ころでしょうか。(途中、一部カット)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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ところで,「LRV」という名称は,超低床電車を意味するものではなく,「LRT」
という交通システムに用いられる高性能の車両全般をさします。従って,アメリカ
に多く見られるような,高床式の車両(ホームを嵩上げすることで事実上のバリア
フリーを実現している)も,LRVです。LRTのスタイルにもいろいろあるので,
必ずしも「LRT=超低床電車を使用した交通システム」というわけではありません。
鹿児島市電が今後どのような方向へ向かうのかまだ不透明ですが,超低床車を
入れることが本決まりになりましたから,ヨーロッパ方式,つまり超低床車を中心
とした交通システムに移行していくことになるでしょう。
欧米では,中心市街地活性化のために車を規制し,「パークアンドライド」と「トラ
ンジットモール」をうまく活用することで,街を生き返らせていますね。先日,「かご
しま夏祭り」のときに歩行者天国となった電車通りを歩いてみて思ったのですが,
商工会議所が中心となって,「トランジットモール」の実験をしてみてはどうでしょうか。
「かごしま夏祭り」「おはら祭り」のときは,全ての交通が遮断されて歩行者天国と
なるわけですが,ここに電車だけ通してみるのです。電車だけですので,軌道敷を
露店に使用しないだけで済み,朝日通や高見馬場から延々歩かずに済みますよね。
一度実験してみれば,問題点も浮き彫りになるでしょうし,何より,「これがトランジ
ットモールというものか」と,市民に啓発することができると思います。
来月,福井鉄道の市役所前〜福井駅前で,トランジットモール実験が行われます。
福井鉄道は,郊外電車用の大型車両が路面軌道に乗り入れるタイプの特殊な形態
ですが,一応「路面電車」の仲間であり,実験では,自社所有の路面電車タイプの
車両1両と,名古屋鉄道から路面電車用の車両(部分低床の800形)を1両借りて
走らせるそうです。どのような成果が出るか楽しみです。
よく「車社会から取り残されると街がさびれる」と思われがちですね。谷山中心市街
地も,駐車場がなく,自家用車利用者からそっぽを向かれた結果,街がさびれたと
いわれています。でも,自家用車の利便性に代わる交通機関があったらどうでしょう。
川内も,国分も,そのような交通機関がなかったから中心街がさびれたのだと私は
思うのです。確かに駐車場も必要でしょう。でも市電や多くのバスが乗り入れている
天文館周辺では,地方都市の中心街とは様相が異なると思うのです。毎日どれほど
多くの人が市電やバスで中心街に出向いているか。休日など,自家用車は駐車場待
ちで渋滞し,決して便利だとは思いません。(実際,私も自家用車で街に出向いたこと
がありますが,渋滞でイライラし,市電の方が便利だと確信しました。)
天文館周辺のお店では,「セラ602」の駐車券を提供するところも多いですが,あれ
は自家用車の利用者にだけのメリットですよね。自家用車びいきではなく,市電やバス
の乗車券の補助もあっていいのではないでしょうか。例えば・・・
店主「お客様,本日は電車・バスをご利用ですか,自家用車をご利用ですか?」
客 「はい,今日は電車で来ました。」
店主「では,お帰りの際この利用券をご利用下さい。」
・・・と,駐車券の代わりに乗車券を渡す。商工会と交通局やバス各社がタイアップして,
公共交通機関の利用を促す。このような施策も今後は必要だと思います。
長くなりましてすみません。またお会いしてゆっくり語る機会があればよいですね。
私もまだまだ勉強不足です。どちらかというと「市電びいき」ですので,別な見方も必要
かもしれません。ただ,公共交通機関,特に市電が将来性のあるシステムであることは
欧米その他の例を見ても間違いありません。今後は,街づくりの一環として,市電やバス
の活用をいろいろな観点から検討していくべきであると私は思います。
それではこの辺で失礼いたします。
大石慶二 様
メールありがとうございました。お陰様で9月28日から職場復帰,
多少疲れやすくはなっているものの特に異常もなく普通に生活して
おります。
鹿児島市電の低床車は,全国初の純国産です。全国から視察に
訪れる人が多くなると思われます。熊本や広島のものとはかなり
様相が異なりますが,「まずは今の技術でできる車両」ということで,
大いに評価できると思います。12月上旬には納車され,約1ヶ月の
試運転の後,1月15日から営業運転を行う予定です。
(途中の文をカットしてあります。)・・・・・・・・・・・・・
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実は,10月26日に「路面電車サミットin熊本」,翌27日には福井
市で行われている「トランジットモール社会実験」を見に行ってきまし
た。(←そのくらいの元気はあるということですね。)
特に,福井市のトランジットモール実験は,実際に駅前商店街を
歩行者天国にし,その中を通っている福井鉄道市内線に名鉄から
借り受けた部分低床電車(昨年美濃町線に導入されたもの)を走ら
せるというもので,大変興味深かったです。詳細は当該ホームペー
ジをご覧下さい。アドレスは以下の通りです。
この件についても,貴兄とぜひお話ししたいと思います。商店街の
姿勢など,問題が結構あるようです。