第一回
貴陽
深栖が行く、マイナーなチャイナ紀行
2003年1月18日〜23日
中国 貴州旅行記 2003年1月18日〜23日
前書き
「天に三日の晴れ無し、地に三里の平野無し、民に三分の銀無し」という言葉が
あります。つまり、一年中晴れることがなく、大地には農作物が作れる平野もな
く、そこに住む人々にはほんの少ししか財産がない。そんな場所が上海から飛行
機で2時間半のところにあります。
中国でも1番貧しいとされる所、貴州省で す。
ここを今度の旅行先に選んだのは幾つかの理由がありました。まず昔の中国
の紙幣に描かれ、以前より憧れがあったアジア最大の滝「黄果樹大瀑布」を見学
すること、この地に住む様々な少数民族の文化に触れてみること、そしてなによ
り団体のツアーに慣れた自分に、もう一度自分なりの旅を考え直す機会が欲し
かったこと、などがあります。
従って今回は航空券のみ手配し、ホテルなどは現 地で調整することとしました。
学生の頃、安宿を泊まり歩いていたスタイルへの 回帰です。
<1日目 1月18日(土)>
鹿児島から新しく就航した上海路線を使い、貴州省の省都貴陽の街にたどり着い
たのは、すでに夜の11時をまわろうとしていた。
駅前でタクシーから降り、ま ず目に見えたものは、屋台とひっきりなしに通るバス
で埋め尽くされた大通り。
この時間だというのに人の往来も驚くほどさかんである。
屋台の裸電球の灯りと 独特の匂い、自分よりも大きな荷物を背負って駅へ行き交
う人々。この混沌とし た雰囲気が、ようやく中国に来たと実感させてくれる。
目的の黄果樹へはここか ら150kmも離れており、バスでしか行けないところな
ので、早速明日のバスの発 着場と、今日のホテルを探しに行く。
しばらく歩いていると、通達飯店というホ テルの入り口に黄果樹ツアーの看板が出
ている。早速話を聞きに中へ。フロント の女性に聞くと、黄果樹、天星橋、ミャオ族
の村と3ヶ所をまわり、中国語ガイ ド・昼食・入場料込みで198元(約3000円)。
入場料が含まれているので あればまあ安い。客を拾いながらあちこちと寄り道す
る乗合バスは安いが、時間 がかかる上、予定がたてにくい。またチラシの写真に
ある高級バスにも魅力を感 じる・・・。
早速申し込みをしたい旨伝えると、朝7時30分に出発するので、 その前でよいと
の事。オフシーズンなのできっとガラガラなのだろう。フロント のカウンターにはホ
テルの料金表もあり、238元とある。一応二つ星ではある が、正直高い。
・・・・・・・・・夜も遅いがもう少し探してみよう・・・。
そう思ったときフロン トの女性から声がかかる。
・・・・・・・・ 「宿泊は決まりました?今日、部屋は空いていますが・・・」
以前、シルクロードのホテルで安くしてもらった事を思い出す。中国の場合、そ
の場での交渉でも安くなる場合が多い。
・・・・・・・・ 「いくら?」
そういうと料金表を指差す。
・・・・・・・・ 「うーん。安くしてくれるならかんがえるけど・・・。」
そういうとあっさり値引きしてきた。
1泊160元、朝食付き。お湯は24時間 使え、エアコンも付いているとの事、申し分
ない。なによりフロントの女性の サービスや応対が素晴らしい。田舎なので、多少
身構えていた部分もあったが、 4〜5年前に比べたら大きな違いだと思う。前金で
お金を支払い、チェックイン の手続きをする。話を聞くとこのホテルは貴州の鉄道
局の資本で建てられたホテルらしい。チェックインを済ませ、部屋へ荷物を置く。
バスルームもなく、部屋 もとても綺麗と呼べるものではない。もちろんベットにはク
ッションと呼べるも のなどない。
学生時代はこれよりもひどいホテルに平気で泊まれたものだ が・・・ちょっと躊躇
している自分に気づく。
ドミトリーよりは充分ましだと考 え、錆くさい匂いがするシャワーを浴びながら明
日の予定を反芻する。念願の大 瀑布を見られる興奮で、寝付くのがやや遅くな
る。