大石ケイジ的長沙日記
授業の話を少し、してみます。

 もとより僕はにわか教師、でも日本語の一般論については、日本人であるから分かるし、正しい使い方かどうかは別にして、外国人が間違って使う遣い方はすぐに分かる。

 しかし、こちらで教えている「日本語の使い方」教科書を見てみると、我々日本人がどちらでもごく日常遣っている日本語を二つあげて、どちらの遣い方が正しいか?との問いである。

解答にはその文法的違いまで丁寧に書いてあり、学生たちはそれをしっかり勉強する。
こちらでは、と書いたが日本の日本語学校でもこれは同じである。

 それを覚えなければ日本語検定試験1級や2級に合格しないから皆必死なのだ。
 今日も一人の生徒が質問してきた。

 「先生!会社に行か(なくて、ないで)映画を観に行くつもりです。の(なくて、と、ないで)の使い分けを説明してください。

 僕は数回、口の中で反芻してみるうちに分からなくなってしまい、うっかり誤魔化してもまずいと思い。とっさに、
 「こんな場合、われわれは、会社に行かずに映画に行きます。」と言います。と言ったら、すかさず、
 「“行かず。”は写文、つまり書き言葉なんじゃないんですか?」と返してきた。
 そんなこと僕が知るかい、と開き直りたくなったけど
 「みなさんはそう習ったかも知れないけど普通に使いますよ」と言ったまではよかったが、自分でも段々自信が無くなってきました。


 日本語をマスターすることと、日本語の日常会話を習得することとは同じではないんだ。われわれが英語を習うころ英文法の時間とリーダーはあっても英会話の時間は高校時代に無かった。





 大学受験の時、英語の試験にデクテーションという外人教師による聞き取り試験があり、英文に直せず苦労したのを思い出した。

 それと気づいたことですが、彼らは日本語を話す時と母国語である中国語を話す時の姿勢が違うことです。

中国語のときはしまりの無い姿勢で話しますが、日本語を話す時はなにやら姿勢が良く見えます。

 余裕と緊張だけの問題ではない。他国語を話す時はその人の性格まで少し変わるのではないでしょうか。

あとで範先生や寺坂先生(ハーフ)とも少し教師としての日本語指導について話し合いましたが、お二人とも
 「日本語の類義表現の使い分けはとてもおもしろい」といっておられました。

 「〜てもいいです。」「〜なくてもいいです。」「〜なくてはいけません」「〜なければいけません」の違いはわかりますか?